ラベル 軍事 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 軍事 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年8月2日金曜日

「戦艦vs飛行機」の比較では戦艦の負け、って正しいのか?



戦艦大和の悲劇を語るときなどに良く言われる、「戦艦vs飛行機」の比較で戦艦の負け、ってのはおかしい。
なぜなら、一対一なら負けることはないから。
航空攻撃は多数機で行うものだ、と反論されそうだが、それをいうなら戦艦も単艦では行動しないのである。
ということは、「戦艦vs飛行機」という比較自体に無理があるということだ。



第二次大戦後半以降、海軍戦力の柱が戦艦から空母(と搭載される航空戦力)に変化したのは、限られた予算で戦力を整備するなら多目的に使用でき、戦艦より広範囲を制圧できる、空母(と搭載される航空戦力)の方が効果的であるからであって、前述したように、「戦艦vs飛行機」の比較で飛行機が優位だから、というわけではない

大体、水上艦隊は航空攻撃に対して巷で言われるほど、弱いのだろうか?
たとえば、米艦に対して、著しく防空力が劣る日本艦隊にしても航空攻撃による被害は思ったほど多くない。
マリアナ沖海戦(1944.06.19-20)での、米母艦航空隊216機による航空攻撃(6.20)による我が艦隊の被害は 

  沈没:空母1/油槽船2
  中破:空母1
  小破:空母3/戦艦1/重巡1/油槽船1

  米攻撃隊の戦闘損失 約20機(帰還時の事故で約80機の損失)

この海戦での、日本側被害の重要な点は、むしろ参加母艦航空兵力の3/4以上となる378機もの航空機の損失である。艦は残ったが攻撃力の中心である母艦航空隊が壊滅、二度と再建できなかったことが重要なのである。
母艦航空戦力の喪失は、すなわち米艦隊に対する攻撃力の喪失を意味するからだ。
水上砲戦部隊では空母任務群を補足することは実質不可能であることを思い出してもらいたい。
もっとも、この時期、洋上行動中の米艦隊を航空攻撃しても戦果は望めないが。
なお、この母艦航空隊の損害の大部分は 米戦闘機によるものであり、飛行機の最大の敵は飛行機だったことになるが、航空機の傘が無い艦隊は生き残れないわけではないのは先に上げたとおり

水上艦隊が航空攻撃に思いの外耐えたことを示す例として、日本側にまったくエアカバーがなかったシブヤン海海戦をあげてみよう。
この海戦でも 5次にわたる、のべ256機の攻撃による我が艦隊の損害は、

  沈没:戦艦1
  中破:重巡1/駆逐艦1
  小破:戦艦3/重巡1/駆逐艦1

にすぎないのである。


これらの海戦で、もし、日本艦隊の対空火力(砲とVT信管、高射装置)が米艦隊並だったらどうだったろう?
さらに被害は極限されていたはず。ひょっとすると、喪失艦はなかったかもしれない。
一方、日本艦の防空能力が米艦なみだったなら、米空母任務群も我が軍同様、早期に攻撃能力を消失したのではなかろうか?


結局、日本海軍が艦隊戦において米海軍に敗れたのは、戦艦中心だったからではなく、艦隊防空能力がお粗末だった、と評価すべきなのだ。

2013年2月17日日曜日

宇宙戦艦ヤマト2199 第4章 命令違反の扱いについて

今さらではありますが、宇宙戦艦ヤマト 第4章を観て感じたことを。

ヤマト2199の第4章では 沖田艦長が部隊統率者としての能力に欠け、それどころか命令には従わなければならない、という軍人としての基本的なことすら正しく理解していない愚鈍な、いや存在を許してはいけない軍人に貶められているとすら感じられます。
甚だ残念、いえ腹立たしいことです。




第11話「いつか見た世界」(脚本:出渕裕)で、ガミラスとのファーストコンタクトをめぐる秘密が明らかにされます。
中央司令部の決定として芹沢軍務局長が攻撃命令を沖田司令官に伝えるも、沖田司令官は慎重に行動スべきだとして反対意見を具申。そのため”軍務局長権限”で芹沢から艦隊司令官職を解任されたことが描かれています。

第12話「その果てにあるもの」(脚本:出渕裕)では、沖田艦長自らファースト・コンタクトでの先制攻撃命令に反対して解任された話をし(反対しただけなのに自ら命令違反と言わせている)、「正しいと思うか?」と古代に問いかけます。
そして、その後、「軍人であっても一人の人間として行動しなければならないことがある。人は間違いを犯す。もしそれが命令であったとしても。間違っていると思ったら立ち止まり自分を貫く勇気も必要だ」と語らせています。


 沖田さんが古代に語った、間違った命令に従うか否か、という問題について。
現実世界では「違法な命令に従ってはならない」という主旨の規程が各国軍にあります。自衛隊の場合、他国ほど明確でないにしても違法な命令に従う必要はないと解釈されています(注)。
ということは、合法的で正当な手続きに基づく命令には従う義務がある訳です。


(注)「軍事組織における指揮命令関係の課題」 
   http://www.nids.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j12-2-3_3.pdf
  


ですが、12話の沖田さんのセリフでは「自分と上級司令部の考えが異なった場合、従う必要はない」という意味にとれてしまいます。命令の合法性は問題にしていません。
実際、13話で、古代は沖田さんの話を思い出して、独断専行しています。


そもそも12話の沖田さんのセリフがおかしいのです。
沖田さんに、個人の考えに反した命令に従う必要はない、という主旨で語らせたのは大間違いです。
そんなことは「絶対に」許されることではありません。



沖田さんが、命令に反対を表明しただけで解任されたとすれば合法的な命令に違反した訳ではないと理解できます。しかし、命令の実行の拒否なら命令違反です。
11話の画面では、反対意見の表明だけだったのに、12話でわざわざ「命令違反」と言わせてしまったため好意的に解釈することすらできなくなっています。




もし、上官命令に従うべきか否か?という問題を描写するなら、ファースト・コンタクト時の「先制攻撃」命令は、事前に定められた国連宇宙軍のROE(交戦規定)に明白に違反する命令である描写にすべきでした。国連宇宙軍の中央司令部の芹沢一派が上級組織である国連宇宙防衛委員会の定めた交戦規定に反した先制攻撃命令を下したとすべきだったのです。
その場合、当然 11話で登場する広報映像の「史上初の太陽系外からの敵に対する防衛行動が発令」というNCもボツです。

上級司令部の明確な命令に反対することはそれだけで勇気がいることですから、十分でしょう。
おまけに、その行動は「公式」には称賛される行動ですから、沖田さんを貶めることにはなりません。



 宇宙戦艦ヤマトシリーズが生んだ 日本の、いや地球の英雄はなんといっても沖田艦長でした
沖田艦長を超える英雄はあらわれることがなく、完結編では 再び沖田艦長が登場するほかなかったほどです。言い換えると、宇宙戦艦ヤマトの主人公は沖田艦長(そして、ヤマト自身)だと言っても過言ではないでしょう。
もちろん、私にとっても宇宙戦艦ヤマトで大好きなキャラクターであり、尊敬する偉大な軍人だったわけです。
その沖田さんを「ガミラス」大好きな出渕監督はわざと貶めて、英雄の座から引きずり落とそうとしているのではないか?とすら疑いたくなります。



追記:大体、軍務局長は官衙の長ですから、指揮権もなければ艦隊司令官の任免権もありません。
    また、広報映像で「史上初の太陽系外からの敵に対する防衛行動が発令」と戦う気満々でいながらガミラスが悪い、って広報としてどうよ?矛盾してるじゃないか。
やっぱり、脚本の詰めが甘いだけか?
大体、民間企業でも取締役会決議が自分の考えとあわないからって決議事項無視したらどうなるかを考えてみたら11、12話の脚本がいかにおかしいか分かる。

2012年11月16日金曜日

宇宙戦艦ヤマト 地球はなぜ降伏を選択しないのか?(2)





twitterで地球はなぜ降伏しないか」という件について呟いたところ、

 「最後まで戦っていたのが日本艦隊だったから」
 「太平洋戦争末期の日本と同じで、降伏なんて選択しは最初から存在しなくて、
  勝利か、然らずんば自決というのが、軍部の方針だったから」


という回答をいただきました。
それについて思うことを綴ってみたいとおもいます。


■前提として ~ 作戦指導と戦争指導

「最後まで戦っていたのが日本艦隊だったから」について

これが冥王星沖海戦についての意見であるなら、私は、冥王星沖海戦で地球艦隊がガミラスの降伏勧告をはねつけたことは、むしろ当然であると考えます。
それに日本でなくとも作戦中に会敵しただけで(戦闘開始前に)降伏勧告を受け入れるなら、
それは軍規上の大問題です。
もっとも、旧作の設定であるならば、地球艦隊の指揮官が日本人以外だった場合、損耗が2-3割に達した時点で作戦中止したかもしれないとも思います。


そういう意味では、私も旧日本軍が上級司令部より「撃ち方やめ」の命令がない限り、戦い抜く軍隊だったことは評価していいと考えています。
しかし。これは、命令を受ける側に対する評価です。


むしろ問題は、

・上級司令部が隷下部隊に対して、戦闘停止命令を適切に発出できるか?(作戦指導)
・戦争指導部が適切な時期に戦争終結(降伏)の決断をできるか?(戦争指導)

という点です。命令を下す側の評価です。
「受けた側」と「下す側」は別々に評価しなければなりません。

残念ながら、第2次大戦での日本の作戦指導については、褒められたものではなかったと思っています。
非常に残念なことです。
極端な例ですが、特攻など大西中将自身がいっているように「統率の外道」そのものです。

□戦争指導部とは  しかし、本記事のテーマは作戦指導ではなく、地球の戦争指導についてです。
民主主義国家においては、文民統制・シビリアンコントロールが導入されていますから、戦争指導部とはすなわち政治(非常時にあっては、議会から大きな権限移譲を受けた政府)なのです。
戦闘停止命令が戦争指導部から発せられないかぎり、軍が戦い抜くことは当然であり、それが
あるべき姿だと私は考えますから、国連宇宙軍が日本艦隊を出撃させたことは当然(作戦自体の評価は別)です。
その軍に戦闘停止を命じるのは、あくまで戦争指導部です。


現代の日本人はどうも誤解している向きが多いように思いますが、民主主義国家においては、
戦争の開始と終結の判断は、軍部ではなく政治の役割です。先ほどのtwitterでの「軍部の方針」だったからといって、政治決定に反して勝手に戦争を継続することは許されません。
あるとすれば、それは、
 ・民主主義体制になく、軍が全件を掌握している。
 ・そして、軍自体が降伏するくらいなら地球人すべてが滅んだほうが良い、と考えるほどに
  極端な思想に染まっている。

この2つの条件を充たすときのみです。

twitterのフォロワーさんの指摘にある「太平洋戦争末期の日本と同じで...軍部の方針だったですが、太平洋戦争末期の終戦をめぐる混乱は明治憲法下の日本故に生じた問題です。
立憲君主制でありながら、統帥権を独立させていたことにより、軍に対する政治の優位が機能しない国家体制だったという、開戦と終戦の決定を誰が(またはどの会議が)行うか明確でないという、特殊なケースです。また、軍部自体、明確な方針をもって戦争に望んでいたわけではありません。
とりあえず戦争に打って出ただけですので、終わらせるための条件がなかったのが実情です。

前述のように、現在の主要な国々は民主主義体制のもと文民統制・政治優位を制度化していますから開戦や終戦の決断は政治が行います。

私は、将来もまともな政軍関係(文民統制)を維持して欲しいと考えていますし、国家に反逆するような
恥さらしな国軍を持ちたいとも思いません。
一方では、別命がない場合、最後まで戦い抜くような軍律に厳しく、かつ旺盛な士気を持った軍であって欲しい。
そして、将兵を無駄死にさせない作戦指導を上級司令部には期待したい。



当然、ヤマト世界でもすべての人々が己の職責を果たすべく、全力を尽くしていると思いたい。
それでも、滅亡寸前に追い込まれているとしたら、それはなぜ?


■ヤマト世界での戦争指導部とは?

さて、戦争指導についての問いである、と書きましたがヤマト世界での戦争指導部とはいったい
何が相当するのでしょう?
22世紀においても国際連合が存在し、地球統一政府は存在していません(「さらば」でアンドロメダの進宙式に地球連邦初代大統領が臨席しています)。
2199では国連宇宙軍が編成されていますが、これは国連総会または国連安全保障理事会の決議をうけて司令部が設置され、指揮下部隊は各国からの派遣部隊からなる、ということになります。
ただし、国際連合憲章第7章に基づく正規の国際連合軍なのか、国連朝鮮派遣軍と同じ位置づけかは不明です。
国連宇宙軍に戦闘中止を命じることができるのは、安保理または国連総会決議ということになります。
ここでわかると思いますが、沖田指揮する艦隊は「日本艦隊」ではなく「国連宇宙軍艦隊」であって、たまたま日本国から提供された艦艇のみで編成されているわけです。国連軍に参加中は、当然国連軍の指揮下にあるわけです。言い換えると、安保理決議をうけて国連軍(この場合は国連宇宙軍)から戦闘中止を命令されることになります。
よって、「日本艦隊だから」戦い続けた、ということは成り立ちません。国連軍司令部、さらには安全保障理事会または総会で戦闘停止を決議しなかったということになります。


さて、そこまで考えてふと気づいたのですが、第2次大戦における、日本のポツダム宣言受諾の決定は言われるほど遅くはなかったのではないでしょうか?
第2次大戦の多くの参戦国が本土で地上戦を戦い、多くの市民が命を落としています。本土で地上戦を行わずに済んだのは、日英米くらいです。もちろん、陸続きの欧州、とくにドイツに攻め込まれた側は仕方がない部分もありますけど。

2012年11月14日水曜日

宇宙戦艦ヤマト2199における指揮権継承問題

古代が上級者や先任者(森船務長)(注1)を差し置いて艦長代理につくことができるか?

指揮権継承は軍隊に限らず企業でも「決裁権限」と「権限移譲・委任」の規定を作成するわけで、一般社会でも重要な問題なんですよね。

現実世界で権限継承が詳細に定められている例に米国の大統領権限継承順位がありますよね。18位まで定められているそうで。日本国首相の権限継承順位は組閣時に5位まで指定して官報掲載されてるし。兎にも角にも重要な問題なわけで。

では、軍隊での指揮権継承はというと、代理する者が別に定められていない場合は将校名簿の記載順とするのが世界共通です。
因みに日本海軍では「軍令承行令」で継承順位が定められていましたし、自衛隊では防衛庁訓令第80号「指揮代理に関する訓令」、防衛庁訓令第12号「自衛官の順位に関する訓令」で規定されています。
ちなみに、以下で読めます。 
・防衛庁訓令第80号「指揮代理に関する訓令」http://t.co/GebUIKDd 
・防衛庁訓令第12号「自衛官の順位に関する訓令」http://t.co/Bzjaw427 

そこでヤマトですが、上記を考えると、いよいよ古代がヤマトの指揮を執ることは難しくなります。
上級者として真田三佐、徳川三佐がいて、同じ一尉でも森船務長 新見さんが先任です。(注2)
旧作の沖田さんの命令をもって「代理に指定された」者といえるのかは?です。

2199ではひとつウルトラCの提案。古代を野戦任官で二佐に任じてしまう、という解決策はどうでしょう?
ちなみに、現実世界の海上自衛隊では尉官の任免(採用・昇任・退職等)権は海幕長、佐官は防衛大臣に任免権があります。あと、尉官であっても有事(訓令では行動中)の退職も防衛大臣の許可が必要。 
ということで、艦長がある幹部を戦時昇進させることはできません。

フィクション作品中ならなんでもありなので、戦時昇進や補職の権限を艦長に委任できる規定がある、
と設定すればALL OKだと思います。


設定に階級を持ち込んだことは制約になる一方、うまく料理すれば新しいエピソードを作れるわけですから物語に活かしてほしいものです(ああ、話がまとまらない)。



注1)第1章のパンフレットなどで最初から1尉となっていたので、森雪が古代たちより先任かと思っていましたが、映像では肩章が一本線でメ号作戦から帰還した古代、島と同じでした。よって、キャラ紹介等にはありませんが、ヤマト乗組、船務長発令の際 一尉の特進したようです。 2013.01.23追記

注2)第2話を見なおしたところ、古代や雪の肩章が1本の三尉のシーンでも新見さんは三本線で一尉でした。 2013.01.23追記